代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
___日本にて
HIDAKA本社ビル。
「社長、おはようございます」
駐車場までお迎えに参りエレベーターのボタンを押す。
「おはよう、日高秘書」
まだちょっぴり慣れない私はぎこちなく返事をするのだ。
扉が閉まり動き出すエレベーター内。
「まだ慣れないの?可愛い」
結婚して名字が変わるのは当たり前の事で頭ではわかってたつもりなのに、いざ自分がそうなるとどうも慣れない。
それを毎回イジッてくるから腹が立つ。
キッと睨んでネクタイを握る手には光る結婚指輪。
「慣れないよ……幸せ過ぎて」
拗ねた様子でネクタイを引き寄せたらあなたは止まらなくなるってわかってる。
まだまだ逃れられない社長の甘い罠。
夫婦になった2人の甘い甘い生活。
多忙な社長に適度な糖分を。
とろけるキスで惑わせてあげる。
「続きは帰ってからね…?」
そうおあずけすればその夜は大変な事になるんだけど……
妻になってからより溺愛されてる気がするのは気のせい?
でもそれが嬉しくて、つい私も求めてしまう。
壁に手をついて髪を耳にかけられる。
エレベーターで2人きり。
近過ぎる距離。
もう着いてしまうのに離れる気配はなくて……
「紗和……その顔、エロいんですけど?」
「え……?」
「最高かよ」
答える隙など与える事なくチュッとキスされ体は離れる。
扉が開いて颯爽と歩いていく社長の後を慌ててついて行く。
真っ赤になって歩く私を面白おかしく見ながら笑ってる。
そんな私のネームプレートは、
社長秘書 日高 紗和。
まだまだ甘酸っぱい日々を送る事になりそう……です。
【 END 】