代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



「待ってる間、イライラしながら私の事たくさん考えてくれた?たくさん想ってくれた?だとしたら作戦成功…かな」



「作戦?」



ヤベ、まんまとヤラれた。
女神から小悪魔な目つきに一瞬で心奪われてる。
もう片方の手で頬を包む。



「じゃあ今日で嫌われないように」って前髪に軽くキスされた。
え……何?今の……心臓ヤバい。
びっくりして見上げる俺に可愛く微笑む。
細い指を絡めて手を繋ぎ「早く行こう」と俺を引っ張る。



照れくさくて、焦れったくて……本当はすげぇ興奮してる。
こんなに初っ端からドキドキするデートは初めてかも。



少し歩いて着いた場所。



「えっ……!?」



やっぱりびっくりするよね?
真逆で攻めようとした事に今ひどく後悔してる。
絶対興醒めしてるよな?



「ごめん、やっぱり止めよう…!映画…!映画観よう!」



2時間という時間を、映画でもなくオシャレなカフェでまったりでもなく探せばデートスポットなんて数えきれないほどあるはずなのに。
その場を離れようとしたけど微動だに動かぬ乃亜さん。



「ごめん、映画も嫌ならえーっと…」



「良い…!」



「えっ?」



「なんで私が行きたいってわかったの!?本当にここ選んでくれたの?超嬉しい…!」



マ、マジか。
興醒めどころか目の色変えて喜んでくれてる。
え?本当に?
女の子は大抵嫌がるものかと。
2時間あって何でここなんだよって思われて当然なのに……乃亜さんはめちゃくちゃ喜んでる。



「好きなの?」



もしかして完全に俺に合わせてくれてるならさすがプロだなって思う……けどこれは演技なのか?
満面の笑みで「好き」とか言われたら勘違いしてしまう。






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