代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
楽しい時間はあっという間。
待ち合わせした場所のロータリーにまた車が停まってる。
スタッフに送り迎え頼んでるところはさすがガードが固い。
夜になればちょっと肌寒いから着ていたジャケットを羽織らせていた。
ギリギリまで手を繋いでいてくれてる。
あと少し…もう少しで現実に引き戻されるんだよな。
急に怖くなって足を止めた。
「オプション……まだ全部やってないよね?」
揺れる毛先。
オーバーサイズのジャケットを羽織る姿も悔しいほど可愛い。
「え、今日は無理でしょ」
「そうだよね…」
「期待してた?」
「う、うん…」
「また今度ね」
「またデートしてくれんの?」
「いいよ、でもいつになるかは予定表見ないと」
やっぱりそうやって現実に戻すんだ。
ここで勝負かけるか?俺っ!?
どうすんだ!?
「次のデートはもっとラブラブしようね」って照れながら言うから繋いでた手を引き寄せて俺からハグした。
こういう事……他の野郎にも許してんだよな。
考えたくないけど頭によぎる。
「どうやったら……俺だけの乃亜さんになりますか?」
欲しくてたまらなくなる。
潔く負けを認めればいい?
乃亜さんの事買っていいかな?
俺だけのモノにしたい。
あちこち行くなよ。
知らない奴に笑いかけたり気を持たせる事はしないでくれ。
俺以外の手なんか握るな。
抱き寄せたまま俺を見上げるから今にも唇が触れそうな距離。