代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
あれから数日経つけど心のモヤは晴れぬまま。
今日も何度も「社長…!」って呼ばれてハッとなる。
心ここにあらずで会社の皆には申し訳ない。
今までこんな事は一度もなかった。
遊び慣れていたし別れなんて気にする事もなかったこの俺が、ここまで引きずられるものなのか。
気が付いたら脳裏に浮かんでる。
最後の顔……ズタズタに胸をえぐられるようだ。
あんな形が最後なんて嫌だから何度もLINEで謝った。
けど返信は一切なし。
既読すらつかない。
だから会いに行くしかない。
ただ一言謝りたくて……顔が見たくて。
無視されたままは……かなりキツい。
家はさすがにわからないから会社まで行く。
受付けの子に聞いたら外出中との事だった。
帰宅時間もわからないと言われたから車の中で待つ事にした。
ポツンとした事務所の駐車スペースに白のバカでかいジープラングラーが停まっていたら目立って仕方ないだろう。
ジッと待っていても一向に帰って来ないし、途中雨も降ってくるし、結局その日は会えなかった。
行ける日は行って、また居ないと言われ駐車場で待つ日々。
きっと避けられてる。
連絡方法もないしこうするしかないもどかしさに泣けてくる。
「伝言頼んでいいですか?本当は会って言いたいけど…何か無理そうなんで」
10回ほど粘ってみたけど会えないから受付けの子にそう切り出した。
何度も来る俺をストーカーだと思ってるかも知れないけど、今はこの子だけが頼みの綱なんだ。
「は、はい…」