代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
車から降りて駆けつけた俺にあざとい笑顔でこう言うんだ。
「もう来ないかと思った」
久しぶりに会えただけで舞い上がってるのにそんな事言われたら抑えきれなくなる。
「2週間が……限界です」
「ん?何が?」
「乃亜さんに会えない期間…」
目線や仕草のどれを取っても色っぽい。
スーツのネクタイに触れてくるから一気に心拍数上昇…!
緩めてた結び目をキュッと締められた。
「ふーん、2週間も我慢出来たんだ?」
そんな近くで見上げられてみろ…!
我慢の限界は即座に爆発だ。
「じゃあね」と自分の車に向かう乃亜さんを行かせたくない。
今日はベルファイアじゃなくコンパクトカーのミラココアだ。
夕日に照らされた姿は神々しい。
腕を掴んで止める。
「え、何…?」
少し機嫌が悪いようにも見えた。
でもそんなの関係ない俺は細い腕を引き寄せ抱きしめる。
「我慢出来たんじゃない…!この2週間…俺がどんな想いで……っ」
胸がいっぱいで言葉につまる。
それより先に触れて、乃亜さんを感じてしまったから………
「まだ勘違いしてるの?」
「違っ…!」
体を離して視線がぶつかった瞬間。
もう止められなかった。
男としてあるまじき行為だったとしても、好きな気持ちが溢れ出てどうしようもなくて……
一瞬で唇を重ねていた。
抵抗……してたかも知れない。
綺麗なピンクと白のミラココアに乃亜さんを軽く押さえつけて……半ば強引に。
両手で押され離れた途端、急に理性を取り戻した俺は焦る。
乱れた髪を戻し冷静な乃亜さんに必死に謝る俺。
呆れ返る態度は一番堪える。
俺は一体何をしたんだ。
余計嫌われる事してバカだ…!