代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
「あっ、車…良かったんですよね?」
ていうかもうスタジオの住所、携帯見ながらナビに登録してくれてる…!
ヤバい、ニヤニヤが止まらなくなるぞ。
音声がスタートして発車する。
本当はドライブデートは密室だからダメだったんだ。
わかってて誘ったんだけどあっさりOKだったから逆に驚いている。
「いいんじゃない?」って軽い答えが返ってきたし。
でも俺はキスが下手だと言われたんだった。
嫌でもそれは肝に銘じなければ。
こんな美女に言われたらさすがの俺でもヘコむ。
下手に手出しは出来ない……
それも彼女の手なのか?
緊張しながら着いたスタジオに驚く。
勝手にヨガか何かかと思っていたら、まさかのダンススタジオ!?
着替えて出て来た乃亜さんはヒップホップのスタイルでキャップ帽をかぶってる。
月に何回か趣味で習ってるって言ってた。
最初はフラッシュモブの依頼がきっかけらしいけど、やり始めたら意外とハマって体型維持の為にも続けてるって。
送迎だけかと思いきや見ても良いよって言われて舞い上がる俺は相当単純だ。
見始めてすぐ惹き込まれた。
素人でも上手いってわかる。
ステップも技も弧を描くように体をうねらせる。
何しても綺麗だし色っぽいし格好良い。
スーツの俺だけが浮いてるのは少し恥ずかしいが、昔モテたいが為に自分もダンスをしていた経験がある。
ま、そんな事をしなくともモテてたけどって思い出してたら乃亜さんが近寄って来た。
え?え?俺の手を引っ張ってくる。
音楽に合わせてジャケットを脱ぐようジェスチャーしてきた。
周りもウエルカム状態でもう逃げ切れない。
自然とリズムを刻む俺に煽るオーディエンス。