代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



マジかよ。
ネクタイを緩めて腕まくりしたら乃亜さんと同じステップを刻む。
ほんの数分見ていた踊りを思い出しながら再現していく。
途中止まったりもしたが乃亜さんや周りがフォローしてくれた。



最後まで照れは拭えなかったけど一体感が芽生えた瞬間は鳥肌もん。
いきなり参加はちょっとキツい。
でもまだ感覚が残ってた自分にびっくりしたのと、密着しながら乃亜さんと踊れたドキドキでいっぱいいっぱいな俺。



こんな趣味があったなんて、新たな一面を知る事が出来てめちゃくちゃ嬉しかった。
他の奴が知らない乃亜さんを知れた気分で最高のドヤ顔だよ。



その日から一気に距離が縮まったと言えば縮まったのか!?
運良くタイミングが合えば色んな場所へ送迎出来る仲になれた。
ストーカーから昇格か!?
いや、ストーカーじゃねぇよ!
純愛だ!と自分で言っておく。



正直、乃亜さんの気持ちはまだ全くわからない。
相変わらず上げて下げられるを繰り返す日々。
もうこの際何でも良い!!
一緒に居られるだけで幸せなんだ。
だってほら、もう圭介って呼んでくれんだもん。
この上ない幸せ者だろ…!!



決して長くは一緒に居れないけど、レンタル彼女の時より距離は近い訳で……でもまだ恋人未満の微妙な関係を今は楽しんでいる。
よく笑う乃亜さんを大切にしたい。
必死に理性と戦ってる俺をいつかは褒めてほしいな、なんて。



そろそろ本当の連絡先教えて欲しいなって打ち明けようかと思ってた矢先。
距離が縮まった気がしていたのはやっぱり俺だけだったのかも知れない。



「え……!?韓国!?」



事務所の受付けの子にそう言われて愕然とする。
そんなの一言も聞いてないし……
黙って行っちゃうとかアリ!?
何だよ、この取り残された感……
すげぇ寂しい。








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