代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
どうしても掴めなくて結局泣かされて……ヘコまされる。
好きだって言っても何の反応もない。
言い続けてだいぶ経つけど返事はもらえぬまま。
普通なら諦めるところなのかな。
お前それは脈ナシだろって。
周りから見たらそう思うだろうし、友達がそうなら俺もやめとけって前までなら言うと思う。
でも今は違う。
お前が納得いってないんなら諦める必要はない。
本気でぶつかって全部さらけ出して死ぬ気で奪って来いって。
手に入れたいじゃなくて確実に手に入れんだよ。
それまでは止まらず突っ走れ!って。
この経験が俺にはプラスになってんだ。
本気で追いかける恋も必要なんだよな。
誰にも渡したくない強い気持ち。
オトすって決めたんだ。
例えそれが完璧に砕け散っても悔いのないように。
ポケットに握りしめたプレゼント。
早く渡したい。
前髪から滴り落ちた雨。
まだ止みそうにない。
シェルパーカーのフードをかぶる。
夜になると気温も下がる為すこし寒い。
時計を何度も確認しながら雨音だけを聞いていた。
不思議と孤独じゃない。
大好きな人の大切な誕生日だから。
待ってる時間も幸せだった。
会えたら何話そうとか、プレゼント喜んでくれるかな?とか、やっと1年越しにおめでとうが言えるんだな、とか。
マンション前に停まった一台のタクシー。
赤い傘がささるのを見て体が動く。
間違いない、乃亜さんだ。
フードを脱いでマンションのエントランスに立つ。
叩きつける激しい雨。
屋根のある場所で待っていたけど濡れてしまうほどの大雨だ。
近くまで来て傘が上がり、ようやく俺に気付いてくれた乃亜さん。
傘をたたみ駆け寄ってくる。