代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉

至福の極み。





あれからすぐに同棲を始めた。
常に送迎車がある俺は普段は車には乗らないから、休みの日はKEYを預かって迎えに行く。
いつものように駐車場に停まるベンツ。
颯爽と現れる乃亜さんに目が細くなる。



徐々にだけどスタッフさん達の間でも公認の仲になれた。
そしてついに先月から始まっている工事。
事務所の隣に新しくビルが建つ。
その全てを担っているのは我が神戸製鉄だ。



タダでいいって言ってるのにそれとこれは話が違うとか言って一向に譲らない乃亜さん。
まぁ、どこより安くしたけど粒揃いの一級建築士ばかりだからご安心を。



やっと新しい事務所を構えられてご満悦のようです。
業績も右肩上がりで、海外展開してくれてる紗和ちゃんのお陰だ〜とか言ってたな。



手を繋いで日に日に完成に近付いていく建物を2人で眺めていた。



「あ、買って来た?」



乃亜さんにそう言われ、車の中から小さな紙袋を差し出す。
頼まれていた買い物。
人気専門店のカプチーノ。
上に生クリームが乗っかってて程よい甘さ。
休日問わず行列が出来るから早めに並んで買って来た。



「そうそう、これ〜!一緒に飲も」



ニッコリ微笑んで俺の手を引く。
もうマジで可愛いから。
並んだ甲斐あったわ。
休日とだけあって事務所はガランとしてる。



「あ、今日は誰も居ないよ」ってサラッと言うから俺だけがドキドキしてる。
同棲しててもまだまだ心奪われてばっかなんだ。



「たまには皆に一斉休日あげなきゃね」



「お、えら〜い」



「でしょ?だから休日出勤は私だけ」



社長室に入りソファーに座る。
買って来たカプチーノにストロー刺しながらあざとい笑顔でこう言うんだ。



「なんて、偉そうな事言っておきながら会社に男連れ込んでる女社長」



ハイ、とカプチーノを渡される。
可愛い自虐ネタにニヤニヤしてしまう。





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