代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
少し前から身辺整理を始めていたという乃亜さん。
一線を退いて本物の経営者となってしまった。
肩書きは変わらないが代行業務には携わらない方向。
レンタル妻をやっていたクライアントには手厚いアフターサービスを施したとか。
いわゆるもう二度と出来ませんっていう謝罪だよな。
だって本物の人妻になっちゃったんだもん。
可愛かったのは退社間際、事務の子に名刺を作り直すようお願いした時の事。
まだ俺達の関係を報告してなかったから。
薄々勘付かれていたと思うけど、モゴモゴしてはっきり言わないから事務の子もどう作り直していいかわからない。
隣に俺も立っているからもう言っちゃってるようなものだけど、決め手となる一言が恥ずかしいのかなかなか言えない乃亜さんはむちゃくちゃ可愛かった。
耳まで真っ赤だよ?
スタッフ達もわざと理由を聞いてくる状況に俺も笑けてくる。
「どのように作成しましょう?どこか書き換える箇所はございますか?」
目を逸らしたり顔を手で扇いだり落ち着かない。
「あの、ほら……アレだ。お願い、わかるでしょ?」
そう言って俺の腕を組みジェスチャーでわからせようとする。
首を傾げる事務の子も笑いを堪えてる。
後ろから「圭介が言ってよ」と小声で言ってきたけどそこは頑張ってもらいましょう。
もう一度肩に手を置き前に立たせてた。
「ここの代表者でしょ?皆にはちゃんと社長の口から言わないと」
スタッフ皆も待ってるよ。
一番クールだと思っていたけど、自分の事となると恥ずかしがり屋なんだね。
そのギャップも最大の魅力だな。
皆を見渡し照れ笑い。
もう一度仕切り直す乃亜さん。
「えっと、希子ちゃん?名刺を作り直して欲しいの」
「はい、承知しています。どのように書き換えますか?肩書きはそのままだとお伺いしていますが、訂正する箇所はどの部分でしょうか?」