代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
「えっと………」
見つめ合っては言葉につまる様子。
背後から「頑張れ」と声をかけた。
皆があの言葉を待ってるよ。
意を決した乃亜さんは真っ赤になりながらお願いした。
「みょ……名字が変わるから作り直して欲しいの…!」
一斉に皆から拍手され顔を覆う。
でもまた冷静な事務の希子ちゃん。
「はい…!おめでとうございます、では新しい名字を教えて頂けますか?」と意地悪な質問を最後に投げかける。
「うそーん…!わかるでしょ〜!」
事務所にドッと笑いが起きる。
そうだね、俺がここに居るもんね?
けど、ちゃんと言わないと皆さん納得されてないね?
自分と俺を交互に指差してわかってねアピールもニヤニヤしながらわからないと首を傾げてる。
ダメだ、俺も笑けてきた。
こんなイジられてる社長も可愛過ぎてヤバい。
愛され過ぎでしょ。
「社長、新しく変わる名字を正確に教えてください。間違うと大変ですから」
その通りだ。
名刺はその人の顔になるもんね。
そこは俺も間違えられると困る。
観念して「ほ、堀越だよー!」と叫ぶ乃亜さんは超絶可愛かった。
皆が喜ぶ祝福モード。
一人だけ暑いと言って顔を扇いでるけど、皆に改めて紹介してくれたのは嬉しかったな。
「帰るよ、圭介」とそそくさと事務所を後にする。
こういうの慣れてなくて居心地悪かったみたい。
皆さんに頭を下げて追いかけていく。
「今後とも社長を宜しくお願いします」って皆から言われちゃった。
愛されてるねぇ。
社長としての顔もやり手なんだろうな。
え、どうしよう……なんか。
「自慢のお嫁さん、だなぁ」
帰りの車でそう呟いた。
「当たり前でしょ、私の代行全部奪ったんだからちゃんと責任とってよね?」
もうさせない、と言った。
自ら退いてくれた乃亜さんをやっと自分だけのものに出来たんだ。
そりゃもう大切にしますよ?
「人生かけて証明するよ」