代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
「おはようございます、副社長」
エレベーターに乗り込みボタンを押す。
何ひとつ変わらない朝の日常。
密室で2人きりな事に少々不安を覚えるが。
「本日のスケジュールですが……」
確認事項を淡々と延べた後。
「まさかとは思うが、ここにも見張りが?」とキョロキョロしながら心配そうに聞いてきた。
とっさに目を逸らしてしまう。
「いいえ、そのような事は。ですが、会社のすぐ側には居ると思っておいてください」
念の為、保険をかけておく。
実際は…そんな事はない。
オフィスワークに関しては結構ほったらかしな訳で。
「その……また入ってるのか?レンタル…彼女」
挙動不審な態度で私の顔を覗く副社長。
再び目を合わせて姿勢を正し前を向く。
「守秘義務がありますので何もお答え出来ません」
凛とした態度で突っぱねても目の前に副社長の腕が伸び壁ドンされた。また顔が近い。
見上げたら動けなくなる事を学習した私は壁側を向く。
「この前言い忘れてたけど、俺…欲しいモノがあったら手に入れるまで容赦ないから。絶っ対諦めねぇから覚えといて?」
不敵の笑みを浮かべる副社長に言い返す言葉がすぐに見つからない。
こんな大胆に宣戦布告してくるなんて……
これはヤバイ事態だ。
「人をモノみたいに言わないでください」
あともう1階上がればフロアに到着する。
スッと顔が近付いて身構える私に優しく微笑んで………