代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
デスクにてデーター入力をしていたら後方で「あれ?あれ?」と男性社員の焦る声が聞こえてくる。
ほとんどの社員が外回りや打ち合わせに出ていてすぐ近くには私しか居ない。
さっきから5分ほど「どうすんだっけな?」とか大きな独り言を繰り返してる。
時計を見ては「やべっ」と焦っている為、おそらく時間が迫っているんだろう。
少しくらいなら時間があるけど秘書課の私が口だしする事じゃないかも知れない。
立ち上がりゆっくり後ろを振り返ると…男性社員と目が合う。
愛想笑いの後に私のお節介スイッチがオンになってしまった。
「あの、少しだけお手伝いしましょうか?」
そう言うとすがるような目で今にも泣き出しそうになっている。
慌ててデスクに向かい事情を覗う。
パソコンのカスタマイズ代行はお手の物な私に出来ない事はない。
座る社員の右隣に立ち、パソコンのマウスを握る。
「えっとこれは…」とか言いながら、本来なら1〜2分で終わるところを相手にわかりやすくゆっくり説明しながら作業する事にした。
「うわ、わかりやすい!助かります。あ、じゃあこれも教えてもらってもいいですか?」ときたので快く引き受けた。
つい熱くなったのか隣に椅子まで用意してデスクトップを見ながら指導していたら……
急に背筋に悪寒を感じてゾクッとした。
「み〜や〜ま〜っ!!」と前方から鬼の形相でこちらを睨みつける副社長に2人して立ち上がり固まる。
「すみません、すぐ戻ります!」
「すみません、パソコン教えてもらってました!」