代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



笑顔で終われるように心に鍵をかけていく。
だからもう乱さないで。
甘い言葉で惑わさないで……?
その瞳で口説かないで……
私がブレたら何もかも終わりだから……



「帰ろうか」



ようやく言ってくれた言葉に目も合わせられなかった。
頷くだけで精一杯な目は潤んでる。
人で賑わう酒場や建ち並ぶ飲食店等に気を取られているフリをした。
気付かれないようこぼれ落ちた雫を拭う。



徐々に現実へと戻る道を一歩一歩足を進めていたら突然、急展開。
いきなり前から現れた女性。
副社長と同い年くらいで「響也?響也だよね?」と私達の足を止めた。



「え、ユミコっ!?」と驚いていて面識があるみたいだ。



「そう!私、有美子!雰囲気変わってるから一瞬気付かなかったけど絶対そうだと思って〜」と私をチラッと見てる。
手はしっかりと繋がったままなのを確認してるはずなのにやたらボディータッチが激しい。



「なに?お前酔ってんの?」



「エヘヘ、響也も一緒に飲もうよ〜」と反対側の腕を目の前で揺らしてる。
そう言われると少しお酒が入ってるかのように見えるが女の素人な作戦などすぐに見抜ける私。



「悪い、今は彼女とデート中なんだ」



なんか、彼女に上から下まで見られてる気がする。
「え?彼女さんも良いですよね?人数多い方が盛り上がるし〜久しぶりなんだから」って強引作戦か。
彼氏に良い顔するだろうとナメられてるね完全に。
おまけに昔から彼を知ってますアピール……






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