代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



その問いにはどう答えたらいいんだろう。
2人の間には…やっぱりお金が発生してしまうのかな。
それは悲しいけど、契約が交わされた以上どうしようもない。



「……はい」



とうとう改札まで来てしまった。
レンタル彼女の場合、密室となる車でのデートはNGだ。
だから最寄り駅で集合、解散となる。
改札を通ればもう関係はなくなる。



後ろの方でゾロゾロと友人達の姿が見えた。
勿論、あの女も……



自分から行けと言ったのに、やっぱこの後行くんだと思うと気が落ちてる。
「行かないで」とは言えずに偽りの笑顔を向けた。



「帰り、気をつけてな」



「はい、響ちゃんも」



最後に呼んでみた。
照れ笑いする副社長は「じゃ、また」と一歩下がる。



思わず服の裾をつまむ私にびっくりしてる顔。
だよね………そう思うよね…………
私、何やってんだろう。
見つめ合ったままの2人。



「あ……ごめんなさい」と離した手をまた握られる。
自分でもおかしいと気付いていた。
心と体が言う事を聞かない。
どうしよう……どうするの!?



口が勝手に動いてしまう。



「あの女の人と仲良くしないで…」



「え……?」



「あの人きっと響ちゃんに気がある」



「それは……つまり、嫉妬してくれてるって解釈していいのか?」



「どうぞご勝手に……」



どうせ私はレンタル彼女だから。
何言ったって金銭が発生するの。
何ならオプション増やします?
この後請求書作成すんのヤダ………






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