代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
もう誰の声も気にならないほど俺は走り出していた。
慌てて改札を通りホームを駆け抜ける。
結構混雑していてちょうど乗客が乗り降りしているところだった。
やっと見つけた横顔。
1両目に並んで待っている。
真っすぐ前だけを見て……
今、何を考えてる?
そこに、俺は居る?
少しでも俺の事考えてくれてたら嬉しい。
本当は手を取り電車なんかに乗せたくなかった。
許されるならここから奪い去りたかったよ。
でも現実はそうはいかなくて……ちゃんと無事に帰れるか遠くで見守っているくらいしか出来なかった。
途中で危ないめに合わないかとか、誰かと落ち合ったりするのかなとか思いながらも、声もかけずに見てるだけ。
傍から見ればストーカー行為なんだろうけど、見てるだけで幸せだったんだ。
途中で誰かと電話してたり、コンビニで缶チューハイ買ってたりして可愛かった。
無事に真っすぐ家に帰る姿にホッとしたし、住んでる場所もわかっちゃった。
ヤベ、俺マジでストーカーだ。
深山 紗和のストーカー野郎じゃん。
許して……くれよな?
好きで好きで諦めの悪い俺、
紗和を手に入れたくて仕方ない俺、
我慢出来ずにキスしようとする俺、
繋いでた指の感触が忘れられずにまた触れたくなってる俺、
もう恋しくて…泣きそうな俺………
全部ごめん。
どんなに謝っても惨めな俺だけど、確かなもんが胸にある。
誰にも負けない想いが。
紗和を想う強い気持ち。
どんな事があっても、俺は紗和を奪いに行く。