代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
え、マジか。
起きたらもう夜とか有り得ねぇだろ。
体の節々が痛い。
変な寝方したか?
明日の会議準備と勉強しねぇと。
へへ、俺もスピードラーニング始めたんだぜ?
良いとこ持ってかれたまんまじゃ俺のプライドが許さないからな。
あっ!と驚く顔が見てみたいってだけで俺を彷彿させる。
そんな女、手放す訳ねぇだろ。
うーん………頭入らねぇ……
視界が歪む……地震か?
バタッと倒れた気がしたところで記憶が切れた。
どうやって起きて、どうやって会社に着いたかわからない。
「副社長っ…!?」
へへへ、やっと会えた。
俺の女神ちゃん。
今日も綺麗だよ。
え、なに?フロアの皆もお出迎え?
「どうされましたか?」って皆が俺を見てる。
え?何かおかしいか?
ゆっくり自分を見てみるとスーツはかろうじて着てるものの、シャツはスラックスから裾が半分出てるしボタンも掛け違えてる。
ネクタイも忘れてるし上着はクシャッと手に持ってる俺。
プッと自分で吹き出した。
「え、俺これで出社したんだ?」
皆もつられて笑い出す。
紗和の笑顔に安心した途端、目眩がしてフラついた。
真っ先に支えてくれた秘書の肩を借りる。
「大丈夫ですか?」って顔が近い。
余計に熱上がるだろ。
あれ?俺、熱あるのか?
さっきから熱い気がする……
「顔色悪いですよ?少し休まれた方が…」
「ダメだ!今日は外せないアポがある」
「神戸製鉄の堀越社長ですか?私が対応します」