代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



「ダメだって…!俺じゃないと」



フラフラしながら歩いて行く。



ダメだ……あいつだけは………



「副社長、でしたら私も同席します」



立ち止まる俺に周りもフリーズする。
肩を借りていたが軽く突き放した。
壁にもたれてかろうじて立っている俺は、皆が見てようが関係なくつい声を荒げてしまう。



「あいつはダメなんだよっ!あいつは……あいつ…ハァ…ハァ…」



もう肩で息し始めてる。
頭がクラクラして………



「副社長…」



再び俺を支えようと秘書の手が伸びた時。



「あいつは女に手が早いからなっ!」



「え?」



秘書の手が止まる。
後ろの方で何人かクスクス笑う声。
知ってる者は知っている。



「お前が対応したら…あいつ何するかわかんねぇ…んだよ」



言いながら、俺何言ってんだ?って思ってるよ。
しかも皆の前で。
それでも会わしたくないんだよ。
だから休む訳にはいかねぇんだ。



「はぁ!?」



突然声を荒げたのは俺ではなく、目の前に居る秘書。
顔が笑ってない。
フラフラしながらもビクッと姿勢を正す。



「そんなフラフラした体で仕事出来る訳ないでしょ?まとまる話もまとまらなくなるわ!少しでいいから仮眠取ってください、神戸製鉄の時だけ起きてきてください。良いですね?」



あまりの迫力でただただ打ちのめされていた。



「は、はい……わかりました」



再び肩を借りて副社長室へ入っていく。
初めて……怒られた。
あんな感情剥き出しで、一番周りの目を気にする秘書が……






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