代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
《燃えるココロ、たぎる想い》
どうしよう……怒鳴ってしまった。
後ろ振り向けない。
他の社員さん達が皆揃っている朝の時間。
いつもより早く出社された副社長の様子が変。
服もだらしないし肩で息してる。
休むよう言ったのに、副社長の代役くらい出来るのに。
女に手が早い相手だからって私が対応するな??
ふざけんな!!
そんな奴に「こわ〜い」とか言って逃げる私じゃないわ!
上等じゃない!
そんな理由なんかで無理しないで。
一歩間違えれば事故起こしてたかも知れないのよ?
無事に着いて良かった……
フラフラのくせに抱き寄せる力は残ってるんだね?
ここで「紗和」と呼ばないで。
秘書としての自分が揺らいでしまう。
思ってる以上に脆いから。
スーッと眠る顔を見てホッとした。
神戸製鉄とは10時30分からアポを取ってある。
それまでは何としてでも休ませたい。
副社長室を出るとやはり皆の視線が痛いほど突き刺さる。
容態を聞かれたので「神戸製鉄が終われば病院へ連れて行きます、今日は他のアポは繋がないでください」と伝えた。
「さっきの深山さん格好良かった」
「ど、どうも……」
「副社長にあそこまで言えたの深山さんくらいだよ」
軽くディスってますよね?
私だってあそこまで言うとは思いませんでした………
「深山さんに対する信頼感半端ない……初めてシュンとした副社長見た」
「や、やめてください……もう、し、仕事しましょう」