【短】お返しは××
お返しは××
大量の書物が集まった、独特な空気が漂う空間。


「じゃあなーー」


「また明日!」


「おーーー、またな」


そんな場所に、私、影草 綴《かげくさ つづり》は立っていた。


「どっ、どうしよう……2人っきりになっちゃったよ………」


ビッシリと本が詰め込まれた大きな本棚から、コッソリ顔を半分だけ覗かせる。


目線の先には長机がたくさん置かれており、その内の1つを使って男の子が1人本を読んでいる。


彼の名前は久保 虎徹《くぼ こてつ》君で、ここは私と彼が通う高校の図書室。


先に図書室に来ていたのは、私の方だった。
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