たぶん..初恋...だった。
なんだか自分の行動が全部アホらしくなってきて、笑えてきた。

「‥ハハッ‥バカじゃん‥私」



全力で走ってたせいで、もう走る力もなくなって道端にしゃがみ込んでしまった。


雨に打たれながら膝を抱え込んで泣き続けているともうどれだけ時間が経ったのか‥感覚がだんだん麻痺してきた。









冷たく降り注いでいたはずの雨がいきなり止んだ。



晴れたのかな、なんて顔を上げると‥








「‥りゅうちゃん…」







そこには傘をさしてくれているりゅうちゃんが立っていた。






‥あっそうだった‥傘を取りに行ってからいつも待ち合わせしてる下駄箱の前に行くつもりだったんだ‥





じっと私を見つめてなにも言わないので、


「‥りゅう‥ちゃん‥?」


もう一度声をかけた。













「…もうやめろよ‥」



そう言ったりゅうちゃんの目には今にも溢れそうなほど涙がたまっていた。



「‥好きなんだろ?‥あの久野ってやつのこと‥


俺は‥瑠美が好きならしょうがない、そうやって自分に言い聞かせてたけど‥


‥でも今の瑠美全然幸せそうじゃねえよ‥」



りゅうちゃんに気づかれてたことも、そんな風に考えてくれてたことも知らなくて


「‥えっ…」


と声にならないような声しか出なかった。



















「…好きなんだよ‥瑠美のことが‥。



‥だからほんとは俺の隣で笑っていてほしい。」



頭の中で理解するよりも先に抱き寄せられて、気づいたらりゅうちゃんの腕の中にいた。




「…でも俺のこと好きじゃないことくらいとっくに知ってるから‥


‥だからアイツの代わりでもなんでも、辛い時は俺に頼ってよ‥。」


苦しそうに声を絞り出したりゅうちゃんを見ていたら、


相手に気持ちが届かない辛さや、こんなことを言わせてる申し訳なさで止まりかけてた涙がとどめとなく溢れてきた。



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