たぶん..初恋...だった。
「…だから先輩があいつのこと大事にしてやってください。」




そう言うと寂しそうな顔をして微笑んだ。



‥分かってしまった。



さっきわざと俺に殴らせるようなことを言ったんだ。



コイツが本当は瑠美のことを好きだと分かってしまうと、悔しさよりも一種の同情に近い感情が生まれた。





離れることでしかコイツは瑠美のことを大事にできないのか‥







本当はお互い思い合っているはずなのに‥。





そんなことをしていると、誰かが呼んだみたいで先生が来てしまった。






そのまま俺たちは職員室まで連れて行かれて、事情を説明することになった。






退学になってしまうという最悪の可能性を想定していると、




「全部喧嘩売った俺が悪いっす。西島先輩は何も悪くないっす。」




そう庇われた。





コイツのその言葉のおかげで幸い短い謹慎で済んだ。





たっぷり説教された後、職員室を出た。




コイツに一言ありがとう、そう言おうとした前に




「…りゅうちゃん!」



そう俺の大好きな声が聞こえた。




久野も隣にいるのに、真っ直ぐに俺のとこまできて心配してくれた瑠美を見て、




俺は不謹慎ながらも少しだけ嬉しいと思ってしまった。








しかし、久野に話しかけた瑠美への対応で空気は一変した。






‥これが久野の選んだ道なのは分かるが、辛そうにしている瑠美を見るとそれでいいのかと問いたくなる














‥お前の行動1つでこんな風になっちまう瑠美を俺が幸せにできるのかな‥
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