たぶん..初恋...だった。
私の家庭環境は世間で言われる"可哀想"なものなんだと思う。

私がまだ小さい頃に年中お酒とパチンコで全く働かないお父さんと別れたお母さんは、夜のお仕事をしながらなんとか私を育ててきた。

今の家だって、毎月お母さんのお客さんが払ってくれている。

だから、しょうがないのは分かってる。

お母さんがお客さんを家に連れてくるのも、寝室であんなことをしているのも。



まだ私が小学2年生くらいの時、お母さんの寝室には絶対入らない、って約束してたから入らないようにしてたけど、その日は風邪で朝起きるとすごい苦しかったのを覚えている。

いくら寝室のドアを叩いても、反応してくれないから、ドアを開けたんだよね。


そしたら、お母さんの上に男の人が馬乗りになってて、見たこともない光景で、知らない人みたいに喘いでたお母さんが怖くて、そのまま家を泣き出しながら飛び出したんだ。

それがどういう意味の行為かなんて分かんなかったけど、とりあえず気持ち悪くて、見ちゃいけないものだっていうのは分かった。


そしたら、ちょうど家を出たりゅうちゃんにぶつかって、

「どうしたの!?なんで泣いてるの?」ってパニックになったりゅうちゃんと近くの公園に行って、私が落ち着くまで話を聞いてくれたんだよね。


泣いてるせいで上手く息もできない私の背中をさすりながら、何度も何度も「大丈夫だからね」って言ってくれて落ち着いてきたから顔を上げたら、

私よりも泣いてるりゅうちゃんがいて、それ見てたらなんか笑えてきて今度は私がりゅうちゃんを慰めてた。

その頃から優しくて、大事にしてくれた幼馴染がいたからここまでやって来れたんだと思う。
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