堅物社長にグイグイ迫られてます
「私、御子柴さん素敵だと思います」

建築家を志した理由もお父さんに誉められたからというすごくシンプルだけど純粋なものだと思う。子供の頃の夢を親に反対されても諦めることなく叶えて、今では御子柴さんに設計を依頼すると予約が三年待ちになるほど売れっ子の建築家になっている。けれどそのことに決して天狗になるわけでもなくコツコツと仕事を続けている。

朝は誰よりも早く出勤して、夜も遅くまで事務所に残って仕事をして。休日も依頼主との打ち合わせを入れていたりするし、御子柴さんはいったいいつ休んでいるのかと少し心配になるくらい仕事ばかりしている人だ。でもそれもこれも全てこの仕事が好きだからこそなんだと思う。

そんな御子柴さんのことを私はとても尊敬するしかっこいいと思う。その気持ちを伝えたくなってしまい『素敵』と言葉にしてみた。

そして再び食べることを再開させてつくねを口に含む。

うん、やっぱりつくね美味しい。

一本食べたらもう一本食べたくなってしまった。単品で注文してもいいかな、とちらっと御子柴さんへ視線を向けるとどうやら御子柴さんも私を見ていたようで視線がぶつかる。
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