堅物社長にグイグイ迫られてます
そのまま二人は火花を散らすように視線を合わせていたけれど、しばらくして美弥さんが大きなため息と共に視線を逸らした。そんな彼女に御子柴さんの鋭い言葉を投げ掛けられる。
「あんた何焦ってんだよ」
御子紫さんは、視線をパソコンの画面に戻すと長い指でキーボードを打ち始める。
「その男が選んだのはあんたなんだからそれでもういいだろ。それなのにどうしてその男の前の彼女のこいつに敵意剥きだしにしてんだ」
「わ、私はそんなつもりじゃ……」
そう言って、美弥さんは口を閉ざしてしまった。それからカップの中身を一気に飲み干すと、さっとイスから立ち上がる。
「もういい。行こう、俊太」
美弥さんは俊君の腕を掴むとぐいっと引っ張って無理やり立たせた。そのまま二人がこの場を去ろうとしたので、私は慌てて声を掛けて立ち上がる。
「俊君。待って」
カバンの中から折り畳み傘を取り出すとそれを俊君に渡した。
「傘持ってないよね?外雨降ってるから。ひとつしかないんだけど、美弥さんと一緒に入って帰って」
「あ、ああ、うん。ありがとう」
俊君が私の傘を受け取ると、ちらっと美弥さんへ視線を送る。彼女は不満そうな顔をしながらも「行こう」と俊君を引っ張るように歩き出す。
「あんた何焦ってんだよ」
御子紫さんは、視線をパソコンの画面に戻すと長い指でキーボードを打ち始める。
「その男が選んだのはあんたなんだからそれでもういいだろ。それなのにどうしてその男の前の彼女のこいつに敵意剥きだしにしてんだ」
「わ、私はそんなつもりじゃ……」
そう言って、美弥さんは口を閉ざしてしまった。それからカップの中身を一気に飲み干すと、さっとイスから立ち上がる。
「もういい。行こう、俊太」
美弥さんは俊君の腕を掴むとぐいっと引っ張って無理やり立たせた。そのまま二人がこの場を去ろうとしたので、私は慌てて声を掛けて立ち上がる。
「俊君。待って」
カバンの中から折り畳み傘を取り出すとそれを俊君に渡した。
「傘持ってないよね?外雨降ってるから。ひとつしかないんだけど、美弥さんと一緒に入って帰って」
「あ、ああ、うん。ありがとう」
俊君が私の傘を受け取ると、ちらっと美弥さんへ視線を送る。彼女は不満そうな顔をしながらも「行こう」と俊君を引っ張るように歩き出す。