堅物社長にグイグイ迫られてます
御子柴さんもあれからは特に何も言ってこない。私への態度もいつも通りで、相変わらず仕事中は怒られているし、家の中でも必要以上の会話は交わさず今までと特に変わった様子は見られない。

だからやっぱりあれは私の聞き間違いだったのかもしれない。そう思ったけれど、あのときのことを私はとても鮮明に覚えていて、今みたいにふとした瞬間に思い出してしまう。

気になるけれど、あの言葉の真相をまさか本人に聞くわけにもいかない。一人でこうしてモヤモヤとした気持ちを抱える日々を送っているうちに、御子柴さんの彼女として参加する御子柴商事の創立記念パーティー当日である今日を迎えてしまった。


「うわぁ、やっぱり大きいですね」
　
少し歩くと本日の会場であるホテルに到着した。近くから見ると改めてその巨大さに驚いてしまう。さすが日本を代表する大型ホテルなだけはある。まさか自分がここに足を踏み入れる日がくるとは思わなかった。

それにしてもここの一番広いホールを貸しきって創立記念のパーティーを開くのだからさすが大企業・御子柴商事だ。
< 183 / 300 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop