堅物社長にグイグイ迫られてます
子供の頃からうっかりミスが多かった。
「どうしよう……」
しんと静まる職場の片隅で私は固まったまま動けずにいる。
目の前にはシュレッダー。右手には無惨な姿で半分だけ残ったA4サイズの紙が一枚。
「どうしよう、どうしよう」
さっきからこの言葉を繰り返しているけれど、やってしまったものはどうしようもない。それでもつい口に出てしまう。
「どうしよぉぉぉぉ」
百瀬雛子(ももせひなこ)二十六歳。
たった今、上司の大事な書類を間違えてシュレッダーにかけてしまいました。