堅物社長にグイグイ迫られてます
それから浮田さんの待つ応接スペースへと向かうと、テーブルを挟んだ向かいのソファに腰を下ろした。
浮田さんは今日も自分の自慢話をぺらぺらと喋り続け、私はそれに時々相槌を打ちながら笑顔で耳を傾けていた。
ちらちらと時計を気にしながら五分、十分……二十分と経過したところで浮田さんがふと話題を変える。
「ねぇ雛子ちゃん。今日の夜って空いてる?」
「夜ですか?」
「ご飯でも食べに行かない?」
「え……、えっと」
食事に誘われたと分かった瞬間、私はすぐに断る理由を考えていた。
今日の夜は特に予定は入っていないけれど、浮田さんと食事に行く気にはまったくならない。そのときの会話の内容もどうせもう何度となく聞かされた浮田さんの自慢話だろうし。
「ごめんなさい。今日は約束があって」
約束なんて何もないけれどこれ以外に断る理由が思い浮かばなかった。すると、
「もしかして彼氏?」
浮田さんがすぐにそう返してくる。
「俊君、だっけ?」
そういえば以前、浮田さんに“彼氏いるの?”と聞かれたことがあったので、私は正直に付き合って七年になる同棲中の彼氏がいることを話したことがあった。たった一回だけの会話だったのにまさか名前まで覚えているとは。
でも、私はもう俊君とは別れているので今は彼氏はいない。
浮田さんは今日も自分の自慢話をぺらぺらと喋り続け、私はそれに時々相槌を打ちながら笑顔で耳を傾けていた。
ちらちらと時計を気にしながら五分、十分……二十分と経過したところで浮田さんがふと話題を変える。
「ねぇ雛子ちゃん。今日の夜って空いてる?」
「夜ですか?」
「ご飯でも食べに行かない?」
「え……、えっと」
食事に誘われたと分かった瞬間、私はすぐに断る理由を考えていた。
今日の夜は特に予定は入っていないけれど、浮田さんと食事に行く気にはまったくならない。そのときの会話の内容もどうせもう何度となく聞かされた浮田さんの自慢話だろうし。
「ごめんなさい。今日は約束があって」
約束なんて何もないけれどこれ以外に断る理由が思い浮かばなかった。すると、
「もしかして彼氏?」
浮田さんがすぐにそう返してくる。
「俊君、だっけ?」
そういえば以前、浮田さんに“彼氏いるの?”と聞かれたことがあったので、私は正直に付き合って七年になる同棲中の彼氏がいることを話したことがあった。たった一回だけの会話だったのにまさか名前まで覚えているとは。
でも、私はもう俊君とは別れているので今は彼氏はいない。