堅物社長にグイグイ迫られてます
汐里とは同じゼミに所属していたこともあり学生時代は一緒にいることが多かった。

同じ学部だった俊君とも彼女は仲が良かったし、結婚相手の将生(まさき)君は俊君の友達でもあったので私たちはよく四人で遊びに出掛けたりもしていた。

社会人になった今では四人で集まる機会はほとんどなくなってしまったけれど、汐里の結婚式で久しぶりに顔を合わせるのを私は今から楽しみにしている。

それに、できることなら私と俊君も汐里と将生君に続いてそろそろ結婚できればいいな……なんて淡い期待を抱いているのに、汐里が俊君の浮気を疑ってばかりいるから気分は最悪だ。

「もうその話はやめ!おしまい!それより汐里はどうなの?結婚式の準備は順調?」

これ以上汐里に俊君の浮気を疑われるのは嫌なので話題を変えた。飲んでいたワインのグラスをくるくると転がしながら汐里が答える。

「うん、まぁだいたいのことはほとんど決まってるよ。特注したドレスも何とか間に合って届いたし。あとは当日の天気を祈るのみ」

「晴れるといいね」

「ホント。せっかくガーデンウエディングにしたのに雨だったら最悪」

汐里の結婚式は都内にある一軒家風のレストランを貸し切って行われ、敷地内にある庭園で挙式とちょっとしたパーティーをするそうだ。

「ブーケトスは雛子に向かって投げるからしっかりと取ってね」

そう言って微笑む汐里がとても幸せそうで、友達の私まで気持ちがほっこりと温かくなる。
< 22 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop