堅物社長にグイグイ迫られてます
「なぁ百瀬。俺もお前にひとつだけ言いたいことがあるんだが、いいか？」

「え？あ、はい。なんでしょう」

突然、改まった声でそう言われて私は頷いた。

「彼氏と別れたばかりのお前に今伝えるのはどうなのかとずっと考えてた。でも俺もそろそろ限界だ。今日、浮田さんがお前を誘ってるのを見て俺もうかうかしてられないと思ったし、自分の気持ちがはっきりと定まった」

そこまで告げると、御子柴さんは一度顔を上に向けて深く息を吐き出した。


「―――どうやら俺はお前に惚れてるらしい」


「え……」

今、なんて？

さらりと告げられた言葉に耳を疑う。

「え、あの、えっと……」

もしかして“惚れてる〟って言われた？

いや、でも、何事も完璧主義者の御子柴さんが、私みたいなドジばかりで仕事もろくにこなせないような女に惚れるなんてありえない。

たぶん私の聞き間違いかただの冗談？

でも御子柴さんはそんな冗談を口にするような人じゃないし……。

頭の中でぐるぐるといろんなことを考えながら私はそっと声を掛ける。

「あの、御子柴さん。……もしかして私は今、御子柴さんに告白されてますか？」

「お前なに聞いてたんだ。そうに決まってんだろ」

御子柴さんの呆れたような少し苛立つような声が返ってくる。それから深く息を吐き出すとはっきりと告げる。
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