堅物社長にグイグイ迫られてます
今日は汐里の結婚式だ。

先程、レストランに併設されたガラス張りのチャペルでの挙式も終わり、今は華やかにガーデンパーティーが行われている。

堅苦しくなくアットホームな感じで招待客たちも自由に食べたり飲んだり話したりと、新郎新婦と共に楽しいひと時を送っている。その様子を私は会場の隅に設けられたベンチに腰掛けながらぼんやりと見つめていた。

招待状を貰ってからとても楽しみにしていたはずの汐里の結婚式。それなのに私の心はさきほど行われたバルーンリリースの風船のようにどこか遠くへ飛んで行ってしまっていた。

“俺はお前のことが好きだ“

あれから数日が経つけれど、あのときの御子柴さんの告白が頭から離れない。

今まで御子柴さんのことを“異性”というよりも“上司”としか見ていなかったはずなのに、今ではすっかり意識してしまっている。

それでも日常生活はなるべくいつも通りにこなそうと努力はしているけれど、私にそんな器用なことができるわけもなく家でも職場でもいつも以上にうっかりミスをしてしまっている。

一方の御子柴さんはというと、まるで私への告白なんて嘘だったかのように普段通りの生活を送っている。私への接し方も告白前と同じくらいに素っ気ないし、私のミスに対しても容赦なく怒ってくるし。

この人、本当に私のこと好きなのかな……?
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