堅物社長にグイグイ迫られてます
すると汐里が私の腕をぐいっと引っ張り体を引き寄せると顔を近付け小声で言う。

「ねぇ、それ本当なの?」

「う、うん。そんな嘘つかないって」

「それで返事は?オーケーしたの?」

「い、いや……」

「まさか断ったの?」

「いや……」

「もうっ!どっちなの」

私が曖昧な返事を続けていると汐里が少し苛立つように声を荒げる。

「もしかして返事待たせてるの?」

ずばり汐里に言い当てられて私は小さく頷いた。

「迷ってるんだよね。どう答えればいいのか」

そう答えると、信じられないとでもいうような表情で汐里が私を見つめてくる。

「それって迷う必要ある?相手はあの御子柴さんだよ?ルックスもいいし、建築家としても成功しているし、実家は大企業。雛子にはもったいないほどいい人だと思うけど」

「でも今まで御子柴さんのことそういう風に見たことなかったし、御子柴さんも私のこと異性として意識してないと思ってたから。告白されて驚いてるというか信じられないというか……」
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