堅物社長にグイグイ迫られてます
間違った求人情報を載せられた先方が腹をたて会社へ乗り込んできたときも上司と共に私が頭を下げさせられた。担当もはずされてしまったし部署も異動になった。
一方でミスをした先輩は全くの無傷で何事もなかったように仕事を続けていた。
教育係でもあり信頼していた先輩に裏切られたこと。全くの濡れ衣を着せられ、私のミスではないと訴えても誰にも信じてはもらえなかったこと。それがすごく悲しかった。
そしてある日、ぷつん、と糸が切れたように私は会社を辞めていた。
それからは新しい就職先を探す日々を送っていたけれどそう簡単には見つからない。何十社と面接を受けても受けても不採用が続き、すっかり落ち込みながら夜の街をふらふらと歩いていたある日のことだった。
このまま仕事が決まらなかったらどうしよう……。
途方に暮れていたところ、たまたま通りかかったビルの壁に【事務員急募】と書かれた一枚の張り紙を見つけた。
夜の街の灯りにぼんやりと照らされているその張り紙をしばらく見つめていると、後ろから低い声に話し掛けられた。
『その求人に興味あるのか?』
振り返ると、無地のシャツにジーンズというラフな格好に右側の髪の一部だけがピョンと跳ねた長身の男性が私を見下ろしていた。
それが御子柴さんとの出会いだった。
一方でミスをした先輩は全くの無傷で何事もなかったように仕事を続けていた。
教育係でもあり信頼していた先輩に裏切られたこと。全くの濡れ衣を着せられ、私のミスではないと訴えても誰にも信じてはもらえなかったこと。それがすごく悲しかった。
そしてある日、ぷつん、と糸が切れたように私は会社を辞めていた。
それからは新しい就職先を探す日々を送っていたけれどそう簡単には見つからない。何十社と面接を受けても受けても不採用が続き、すっかり落ち込みながら夜の街をふらふらと歩いていたある日のことだった。
このまま仕事が決まらなかったらどうしよう……。
途方に暮れていたところ、たまたま通りかかったビルの壁に【事務員急募】と書かれた一枚の張り紙を見つけた。
夜の街の灯りにぼんやりと照らされているその張り紙をしばらく見つめていると、後ろから低い声に話し掛けられた。
『その求人に興味あるのか?』
振り返ると、無地のシャツにジーンズというラフな格好に右側の髪の一部だけがピョンと跳ねた長身の男性が私を見下ろしていた。
それが御子柴さんとの出会いだった。