堅物社長にグイグイ迫られてます
とはいえ、擦りむいたおでこの傷が今もひりひりと痛む。こんな目にあうならブーケトスに参加するんじゃなかった、と小さくため息をこぼす。

「そんなに取り損ねたブーケが欲しかったのか?」

するとそんな私のため息の理由をどうやら御子柴さんはブーケが取れなかったからだと思ったらしい。

ちなみに御子柴さんには汐里から持ちかけられた"賭け"のことは話していない。

ブーケを取れたら御子柴さんと付き合う。取れなかったら付き合わない。そういう賭けだったけれど、結局、ブーケを取ることができなかった私は、御子柴さんと付き合わないってことになるのかな……。

「おい、ちょっとそのおでこの傷見せてみろ」

そう言って御子柴さんが私に向かって近付いてくる。

「これ取ってもいいか?」

「えっ」 

私の返事を待たずに御子柴さんがゆっくりと私のおでこに貼られた絆創膏をはがしていく。

「……痛っ」

ひりっとした痛みに声を上げて目を瞑ると「すまん」と御子柴さんが焦ったように謝る。

「大丈夫か?」

「は、はい」

涙目で頷くと御子柴さんはまたゆっくりと絆創膏を剥いでいく。全て剥がれると私のおでこをまじまじと見つめる。

「さすがにもう血は止まってるみたいだが、これは痛そうだな」

そう呟き、私のおでこを見つめている御子柴さんの顔がすぐ目の前にある。
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