堅物社長にグイグイ迫られてます


週が明けた月曜日。

「雛子ちゃん、悟に告白されたんだ」

「はい」

御子柴さんが不在のときを見計らって私は思いきって佐原さんに御子柴さんからの告白のことを話してみた。

「そっかぁ。悟はついに自分の気持ちに正直になったんだねぇ」

イスの背もたれに背を預けながら佐原さんはなんだか感慨深そうに呟いた。その様子に、もしかして……と私はあることに気が付く。

「佐原さん知ってたんですか?御子柴さんが私のことをその……好きだってこと……」

「うん、まぁね。一緒に飲みに行ったとき珍しく酔った悟が雛子ちゃんを好きだって口を滑らせてさ」

「そうだったんですか」

そういえば以前、御子柴さんが"佐原さんと飲みに行ったときに余計なことを喋ってしまった"というようなことを言っていたような気がする。

「それで雛子ちゃんは返事はしたの?」

「いえ、まだです」

御子柴さんの告白からすでに二週間ほどが経過していた。告白されたばかりの頃は私が一方的に気まずい雰囲気を作ってしまっていたけれど、それもすっかり解消されて今では以前のように接することができている。

告白の返事について御子紫さんからは"考えてみて”と言われたけれど、いつまでもずるずると先延ばしにするわけにもいかない。答えはしっかりと出さないと。

「雛子ちゃんは悟のことどう想ってるの?」

佐原さんにそう尋ねられて私は言葉に詰まってしまう。

「私は……」

御子柴さんのことをどう想っているんだろう――――
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