堅物社長にグイグイ迫られてます
ジーンズのポケットに手を突っ込み、無表情で私を見下ろす冷たい視線に少しだけ脅えながらも、貼り出された求人に興味があるのかという質問に私は迷わずに『はい』と頷いた。

『こちらで働かせてください。お願いします』

そう頭を下げると、御子柴さんは場所を事務所に変えてすぐに簡単な面接を始めてくれた。

すると、ちょうど持っていた履歴書を見せながらいくつかの質問に答えただけで私はその場であっさりと【御子柴設計事務所】の事務員として採用になった。

―――それが三年前の今頃だった。

あのとき私を雇ってくれた御子柴さんには感謝の気持ちしかない。

せっかく採用してもらえたのだからしっかりと働いて御子柴設計事務所のためになりたい。

そうは思うものの、子供の頃からのうっかりミスのくせはそう簡単に治るはずもなく、ほぼ毎日のように御子柴さんに怒られて迷惑をかけてばかりの毎日を送っている。


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