堅物社長にグイグイ迫られてます
私はヒールの高い靴が苦手だから普段はほとんど履かない。それでも何足かは持ってはいるけれどこんな派手な色はなかったはず。

じゃあこの靴はなに……?

すると真っ赤なハイヒールの隣には見慣れた革靴が脱ぎ捨てられていることに気が付く。この靴には見覚えがある。これは彼氏である俊君のものだ。

瞬間、ぞわっと身体中に冷たいものが走り抜けていく。

なんだか嫌な予感がして、パンプスを慌てて脱ぎ捨てると家の中へと足を踏み入れた。

二人で暮らすには少し狭いワンルームの部屋はもともと俊君が学生の頃から住んでいる部屋だ。
これから二人で頑張って働きお金を貯めて、いつかはもっと広くて良いところに住もう、と約束をした日のことをふいに思い出す。

そんな私と俊君の家に誰かがいるかもしれない……。
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