堅物社長にグイグイ迫られてます
「俊君……?」

八畳ほどの部屋は真っ暗で、手探りでライトのスイッチを見つけるとそれを押した。

入ってすぐのところにはちょっとした対面型のキッチンがある。けれど料理はたまにしかしないので新品のようにきれいだ。

中央にあるローテーブルには私が今朝飲んだココアのカップがそのまま置かれている。そういえば洗うのを忘れて仕事へ出てしまった。

テレビボードには俊君と付き合い始めた頃から現在までの写真や、去年二人で北海道旅行をしたときに買ったスノードームが飾ってある。そして窓際にはいつも俊君とくっ付いて眠っているベッドが置かれているのだけれど……

「――えっ」

目の前の光景に、思わず手に持っていた肉まん入りのコンビニ袋を床に落としてしまった。

どういうこと?

ベッドには俊君と、見知らぬ女性が体をぴったりとくっつけながら毛布にくるまって眠っている。
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