堅物社長にグイグイ迫られてます
椿さんはさっき私に、自分は御子柴さんの味方でも御子柴さんのお父さんの味方でもないと言っていたけれど、本当は少しだけ御子柴さんの味方だったのかもしれない。
それまでずっと険しい表情を浮かべていた御子柴さんのお父さんだったけれど、まるで何かが吹っ切れたようにストンと表情が崩れた。腕組みをしたまま深く息を吐き出すと視線を天井へと投げる。
しばらくそのまま上を向いてじっと一点を見つめ続けていたけれど、やがて視線をさっと下ろすと目の前の御子柴さんを見据えた。
「悟」
低い声で名前を呼ばれて御子柴さんはしっかりとした声で「はい」と返事をする。
「再来年、御子柴商事の社屋を新しくしようと考えている。その設計をお前に――お前の事務所に任せようと思うんだが頼めるか?」
その言葉に、御子柴さんは一瞬だけ驚いたような表情を見せた。けれどすぐにそれはまるで何かを固く決意したときのようにキリッとしたものに変わる。
「もちろんです。父さんの期待通りの立派なものを作ってみせます」
「頼んだぞ」
御子柴さんのお父さんはそう答えるとすっと立ち上がる。そのまま歩いていき襖に手をかけるとそこで少し立ち止まった。
それまでずっと険しい表情を浮かべていた御子柴さんのお父さんだったけれど、まるで何かが吹っ切れたようにストンと表情が崩れた。腕組みをしたまま深く息を吐き出すと視線を天井へと投げる。
しばらくそのまま上を向いてじっと一点を見つめ続けていたけれど、やがて視線をさっと下ろすと目の前の御子柴さんを見据えた。
「悟」
低い声で名前を呼ばれて御子柴さんはしっかりとした声で「はい」と返事をする。
「再来年、御子柴商事の社屋を新しくしようと考えている。その設計をお前に――お前の事務所に任せようと思うんだが頼めるか?」
その言葉に、御子柴さんは一瞬だけ驚いたような表情を見せた。けれどすぐにそれはまるで何かを固く決意したときのようにキリッとしたものに変わる。
「もちろんです。父さんの期待通りの立派なものを作ってみせます」
「頼んだぞ」
御子柴さんのお父さんはそう答えるとすっと立ち上がる。そのまま歩いていき襖に手をかけるとそこで少し立ち止まった。