堅物社長にグイグイ迫られてます
「私なんて子供の頃からうっかりミスが多いし、ドジばかり踏んでます。他の人がスムーズにできることも時間かかっちゃうし」

「俺はそんなお前も全部ひっくるめて好きだけどな」

御子柴さんからフッと笑みがこぼれた。そんな彼の瞳を私はしっかりと見つめ返す。

「私もです。私も、御子柴さんの完璧じゃない弱い部分も含めて好きです」

私の言葉を聞いた御子柴さんが一瞬、驚いたように目を見開いたのが分かった。

「今回のことで御子柴さんの弱い部分を見ることができて、知るところができてよかったです。そこは私がフォローします。こんなダメなところばかりの私だけどこれからも御子柴さんのそばにいたいです」

御子柴さんは私が好きで、私も御子柴さんが好きだと分かった瞬間、まるで時が止まったように私たちは互いの瞳をじっと見つめ合い静寂だけが流れていく。それを唐突に破ったのは御子柴さんだった。

「やっぱりお前には敵わないな」

そう言って御子柴さんが笑っている。

「だから俺はお前が好きだよ」

御子柴さんがそっと私を抱き寄せる。

「――百瀬。俺のそばにいてくれないか」

私も御子柴さんの大きな背中にそっと自分の腕を回した。

「はい」

そう答えると、再び御子柴さんの腕が私に伸びてきてぎゅっと強く抱き寄せられる。

しばらくしてその腕がゆっくりと解かれていくと自然と互いの顔が近くなり、御子柴さんの唇がそっと私の唇に重なった。


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