堅物社長にグイグイ迫られてます
「デートはどうしたんですか?」

たしか今日は珍しく定時で上がって可愛い彼女とデートなんじゃないの?それなのにどうして職場に戻ってきているんだろう。

「はぁ?デート?よく分からんが、お前こそどうして事務所の前にいるんだ。こんな時間まで仕事でもしてたのか?……って、いつも定時帰りのお前が残業なんてするわけないか。いや、でも待てよ。もしかしてこの突然の雨は珍しくお前が残業をしていたせいなのか……」

「……」

なんだろうこの嫌味な感じ。たしかに私は定時で帰ることが多いけど、たまには残業をして帰ることだってある。今日は違うけど。

でも、そんな普段通りの御子柴さんの態度になぜかとてもホッとしている自分がいる。それと同時に今までぴんと張りつめていた糸がプツンと切れた気がした。

「御子柴さぁぁぁん」

気がつくと私は御子柴さんの身体に思いきり抱き着いていた。
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