堅物社長にグイグイ迫られてます


「―――うっ」

うっすらと目を開けると見慣れない天井が目に入った。

うちの天井ってこんな色でこんなに高かったかな?それになんだか今日はいつもよりもベッドが広く感じる気がする。


そういえば昨日、アパートを飛び出してきたんだっけ……。


寝起きのぼんやりとした意識の中で昨夜の出来事を順番に思い出していく。

昨日は、仕事終わりに汐里とご飯を食べたあとアパートに帰ると俊君と知らない女性がベッドで寝ていた。その光景に、すぐに俊君の浮気だと確信した私はアパートを飛び出して、気が付くと御子柴設計事務所の前まで歩いて来ていた。そこで御子柴さんに会って、思わず泣いて抱き着いてしまって、それからタクシーに乗せられて……そのあとはどうしたんだっけ?

そこからの記憶はぼんやりとしか覚えてない。確かタクシーの走る揺れが心地よくて、だんだんと睡魔に襲われて目を閉じて、気が付いたらこの部屋で目を覚ましたけれど……。

――――ここはどこだろう?
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