堅物社長にグイグイ迫られてます
八畳ほどの大きさの部屋にはセミダブルのベッドがひとつ置かれているだけで、他の家具といえばブラウンのカーテンが閉められた窓の近くに置かれている広々としたデスクのみ。

その上には職場でよく見掛けるような建築模型がいくつか置かれていて、完成しているものもあれば、まだ作りかけのものもある。

部屋の様子を見た限りホテルというよりかはまるで誰かの部屋のようだけれど。

でも誰の部屋だろう?

そこでふと自分が着ている服の違和感に気が付いた。

グレーボーダーの上着にグレーのズボン。まったく見覚えがないうえに上下がぶかぶかで、デザインも明らかに紳士物。

私、どうしてこんな服を着てるんだろう?

そう思って昨日まで着ていたはずの自分の服を探すけれどどこにも見つからない。

すると部屋の扉がゆっくりと開く音がして、ビクッとそちらに視線を向けた。

「起きてたのか」

そこから顔を覗かせたのは御子柴さんだった。

え、どうして御子柴さん??

そういえば昨夜タクシーへ乗り込んだとき彼も一緒だったことを思い出す。

ということは、もしかしてここは御子柴さんの自宅?
< 41 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop