堅物社長にグイグイ迫られてます
「仕方ないから俺の家に連れて帰って来たが、寝ているお前をここまで運ぶのがどれだけ大変だったか分かるか」

「はい。すみませんでした」

ここが御子柴さんの自宅だということは、もしかして……。

「あの、ちなみに私が今着ている服って」

「俺のだ」

ですよね。そうだとは思っていたけどやっぱり御子柴さんの服だよね。

「えっと、じゃあ私の服は?」

「雨でずぶ濡れだったから洗って乾かしてある」

「そうなんですね。ありがとうございます」

深々と頭を下げながら、あれ?ともうひとつ疑問が生まれる。

私はこの服をどうやって着たんだろう?

寝て起きたらこの服に変わっていたたわけだから自分で着替えた覚えはまったくない。そうなると誰かが着替えさせてくれたということになるけれど……。

恐る恐る顔を上げると御子柴さんと視線がぶつかった。

「あの、この服を着せてくれたのって……」

「俺に決まってるだろ。濡れたままの服で寝かせたら俺のベッドが濡れる」

「……」

やっぱりそうだよね。それしかないよね。おそらくそうだろうとは思っていたけれど、本人の口から聞くとなんだかすごく恥ずかしい。
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