堅物社長にグイグイ迫られてます
自分がしてしまったミスを謝ることだけに集中していたせいか、扉から入ってきた人の顔をよく確認しなかった。てっきり御子柴さんだとばかり思っていたけれど違ったようだ。
「なんだ。佐原さんですか」
なんだ、という言い方は失礼だけど。
私は思わずホッとしてその場にペタンと座り込んでしまった。佐原さんはそんな私に微笑みかけながら自分のデスクに向かって歩いていく。
「雛子ちゃん。佐藤様の契約書、シュレッダーにかけちゃったの?」
持っていた鞄をデスクの下に置いた佐原さんは羽織っていた上着を脱ぐとイスの背もたれにそっとかける。
「はい。御子柴さんから、いらない書類の整理を頼まれたんですけど……」
お昼休憩の後、これから依頼主との打ち合わせが入っている御子柴さんに、もう必要のない書類の破棄を頼まれた。
きっちりとした御子柴さんの性格からなのか、うっかり者の私を信用していないからなのか、破棄用の書類には分かりやすく赤いマジックでバツ印が書かれていた。その通りに書類をシュレッダーにかけていると途中で外出中の御子柴さんから電話があり作業を一時中断させた。
電話の内容はデスクに閉まってある佐藤様の契約書の件で急遽確認してほしいことがあるというものだった。私はその契約書を見ながら御子柴さんが知りたかった情報を伝えると電話を切った。
そのあと再び破棄用の書類をシュレッダーにかけるという作業に戻ろうとしたのだけれど、いったい何を思ったのか、手に持ったままだった佐藤様の契約書をシュレッダーにかけてしまったのだ。
何でそんなことをしてしまったのか自分でも自分の行動がよく分からない。本当に私はアホだ。
「なんだ。佐原さんですか」
なんだ、という言い方は失礼だけど。
私は思わずホッとしてその場にペタンと座り込んでしまった。佐原さんはそんな私に微笑みかけながら自分のデスクに向かって歩いていく。
「雛子ちゃん。佐藤様の契約書、シュレッダーにかけちゃったの?」
持っていた鞄をデスクの下に置いた佐原さんは羽織っていた上着を脱ぐとイスの背もたれにそっとかける。
「はい。御子柴さんから、いらない書類の整理を頼まれたんですけど……」
お昼休憩の後、これから依頼主との打ち合わせが入っている御子柴さんに、もう必要のない書類の破棄を頼まれた。
きっちりとした御子柴さんの性格からなのか、うっかり者の私を信用していないからなのか、破棄用の書類には分かりやすく赤いマジックでバツ印が書かれていた。その通りに書類をシュレッダーにかけていると途中で外出中の御子柴さんから電話があり作業を一時中断させた。
電話の内容はデスクに閉まってある佐藤様の契約書の件で急遽確認してほしいことがあるというものだった。私はその契約書を見ながら御子柴さんが知りたかった情報を伝えると電話を切った。
そのあと再び破棄用の書類をシュレッダーにかけるという作業に戻ろうとしたのだけれど、いったい何を思ったのか、手に持ったままだった佐藤様の契約書をシュレッダーにかけてしまったのだ。
何でそんなことをしてしまったのか自分でも自分の行動がよく分からない。本当に私はアホだ。