堅物社長にグイグイ迫られてます
ダイニングテーブルには鮭の塩焼きときゃべつをおかかであえた料理がすでに置かれている。

昨日のオムライスも美味しかったけれど、どうやら御子柴さんは和食も得意らしい。

「何か手伝いますか?」

「いいから座ってろ」

じっと座って待っているのも悪い気がして声をかけたけれど一瞬で断られてしまった。

やることもないし仕方ないのでキッチンで料理を続ける御子柴さんを眺める。

すでに着替えはすんでいるようで下はグレーのスラックス。上に着ている白のワイシャツは料理中のためか肘の辺りまで腕をまくっている。

今日は日曜日で仕事は休みのはずなのにずいぶんとかしこまった格好をしている気がする。髪もきれいにセットされているし。

もしかしてどこかへ出掛ける用事でもあるのかな。

そんなことを思いながら、キッチンに立ち、慣れた手つきでフライパンを揺する御子柴さんを見つめる。

普段は仕事でしか付き合いのない御子柴さんの初めて見る完全なプライベート姿に、もしかしてこれはとても貴重な光景なのでは?とふと思った。
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