堅物社長にグイグイ迫られてます
御子柴さんだって私のことをそういう風には見ていないはずだ。

仕事中も容赦なく私のことを怒ってくるくらいだし、今回の同居の提案だって彼氏に浮気をされたあげく家まで失ったかわいそうな部下を仕方なく家に置いているだけのことだと思う。そこに深い意味はない。絶対に。

というのも以前、御子柴さんにはっきりと断言されている。

【お前のようなドジ女だけは絶対にごめんだ】って。

だからどう考えても今回の同居をきっかけに私たちの間に恋愛のような甘い雰囲気は絶対に生まれない。

けれど汐里は納得していないらしく、

「もったいないなぁ」

そう呟きながらコーヒーをすする。

そんな汐里の言葉をスルーして私は食べかけのフルーツタルトをフォークにさすとパクリと一口頬張った。


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