堅物社長にグイグイ迫られてます
時計を見ると時間は八時を過ぎた頃。御子柴さんはいったい何時に帰ってくるのだろう。

そろそろ鍋の中の具材が柔らかく煮えてきたのでルーを入れて溶かしていく。これでカレーが出来上がった。

「ん~……。まぁ、こんなものかな」

ひと口味見をしてから鍋に蓋をした。

正直いうと私はあまり料理が得意ではない。レシピを見ながらその通りに作ってもどうしても同じように作ることができないのだ。

だからこのカレーも自信がない。俊君にも作ってあげたことがあるけれど一度も美味しいと言われたことがないし、マズイとはっきり言われたこともある。それにいつも残されていたような気もするし。

そんなことを思い出していたら途端にこのカレーを御子柴さんに食べさせてもいいのだろうかと不安になってくる。

なんでも正直にはっきりと口にする人だからきっと俊君と同じようにマズイと冷たく言い放たれるに違いない。せっかく作ったのにそれはかなり辛い。
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