堅物社長にグイグイ迫られてます
おいしいという感想は最初から全く期待はしていない。自分でも自分の作ったカレーがいまいちだと思うから。

「せっかく百瀬が作ってくれたんだ。マズイなんて言うのは失礼だろ。まぁ少し水っぽい気もするがちゃんと食べれるから安心しろ」

そう言って御子柴さんはカレーを一口頬張る。

「それに、俺はお前の料理が食べられて嬉しいよ」

「え……」

い、今なんと？

思わず自分の耳を疑ってしまう。

御子柴さんの言葉に私はスプーンを手に持ったまま口をポカンと開けて固まってしまった。

聞き間違いじゃなければ私の手料理が食べられて嬉しいと御子柴さんは言った気がするけれど……。

まさかあの御子柴さんにそんなことを言われるとは思わなかったのでどういう反応をしていいのか分からない。

「食べないのか？」

スプーンを持ったまま固まっている私に気がついたのか御子柴さんが声を掛ける。ハッと我に返った私はカレーを食べ始めた。

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