堅物社長にグイグイ迫られてます
「えっと……。どうして急に別れちゃったのか聞いてもいいのかな？」

佐原さんは少し聞き辛そうに別れの理由を聞くけれど私は隠さずにはっきりと告げた。

「彼氏が浮気をしていたみたいです」

「浮気かぁ」

「はい。浮気です」

すると、俊君と浮気相手の女性が同じベッドで寝ていた光景がフラッシュバックして胸が苦しくなる。それを振り払うように頭を思い切り横にぶんぶんと振った。

佐原さんはそれ以上は何も聞かずにそっと席を立った。向かったのはコーヒーサーバーの置かれた台で、そこで手際よく二人分のコーヒーをいれると、それを持って再び戻ってくる。

「はい、コーヒー」

トン、と私のデスクの上にマグカップが置かれる。中には湯気が登る熱々のコーヒーが入っている。佐原さんは私がブラックが苦手なことを知っているのでスティックシュガーとミルクも一緒に持ってきてくれた。

「ありがとうございます」

お礼を言うと砂糖とミルクを加えてからマグカップに口をつける。
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